長期的健康維持のためにはメインテナンスが最も重要
インプラント治療後のメインテナンス
インプラント修復治療は他の修復治療と比較しても非常に予後が安定(いつまでの長持ちする)していることが臨床文献でも立証されています。しかし治療結果をいつまでも健康に維持しつづけていくためには治療が完了してからのメインテナンスが非常に大切であることは言うまでもありません。
今日のインプラント治療は部分欠損症例に適用されることが大変多くなってきています。すなわち口腔内にインプラントで修復された歯と残存している天然歯が混在している状況が一番多いです。特に歯周病に対して感受性の高い患者さまではインプラント治療前に残存歯の徹底した歯周病の問題を解決し、健康な歯周環境を確立しておくこと、それに続くインプラント治療、その後の定期的なメインテナンスプログラムが重要です。残された歯の歯周治療が未治療のまま、インプラント治療がなされ、そこが歯周病原細菌の供給源となり、インプラントへの感染のリスクを増加させてしまう結果となり、インプラント、残存歯とも再治療が必要となり最悪の場合、インプラントの撤去が必要となり、当院に相談に来られる患者様も少なくありません。
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数年前他院でインプラント治療を受けられ、その後歯肉が腫れてきてインプラントがぐらぐらして当院に相談に来られました。 |
インプラント治療を受けられる前に、残存歯に対して専門的な歯周病的問題を徹底的に解決されることが特に重要です。歯周組織を良好な状態で長期間にわたりそれらを管理していくために歯周病の再発防止と臨床的に健康な状態を積極的に維持しようとする方法などを総称してメインテナンス治療(supportive periodontal treatment ; SPT) といっています。インプラント治療前後を通じて歯周治療やサポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)による歯周病のコントロールを行い、特に歯周病ハイリスク患者様においては、一般的にな歯周検査に加えて細菌検査を併用したリスク診断を行い、患者様個々のメインテナンスプログラムによるSPTの実施を行っていくことが重要です。
歯周病ハイリスク患者とは?
歯を失われた原因は人それぞれだと言えますが大きく分けるとカリエスタイプの型とペリオ(歯周病)タイプに大別されます。やはりこれまで歯周病で歯を失われてこられた方は歯周病に対して感受性が高くハイリスクだと言えるかも知れません。では歯周病で歯を失った方ではインプラントもインプラント周囲炎になりやすいのでしょうか?長期的な臨床研究論文の中には、重度歯周病の患者様とそうでなかった患者様の長期的な経過の中でインプラントの予後に優位な差は見られなかったという文献もたくさんあります。(※1)ただしどちらのグループも正しいメインテナンスを継続した場合であるということです。やはり専門的にメインテナンス(PST)を継続されることが特に重要だと言えます。
リスクが高いと考えられる歯周病既往のある方の中で
1. 広汎型侵襲性歯周炎
2. 広汎型重度歯周炎
3. 全身疾患関連歯周炎(特に糖尿の合併)
4. 喫煙関連歯周炎
などのリスクがある場合は歯周病ハイリスク患者と認識していただきより綿密なメインテナンスプログラムが必要と言えます。
インプラントと天然歯の違い?
天然歯でもインプラントでも磨き残しをそのままにしておくとプラークが堆積し、プラークによる炎症が起こります。インプラント周囲粘膜に炎症が起こさないようにするために、定期的にメインテナンス(SPT)が必須であると言えます。上の図は天然歯とインプラントの周囲組織の比較です。
インプラントには骨との間に歯根膜という結合組織がないために歯根膜からの血管の血液供給が少ない部分、すなわちインプラント周囲の組織は天然歯に比べると血管叢の粗な部分が存在します。
また結合組織の繊維の方向も天然歯とは異なることがわかります。このことは歯肉縁下へのプラークの感染に対して、血液中の白血球などの免疫を担う細胞の働きが低く、感染に対してインプラントは天然歯に比べると防御機構が劣る可能性があると言えます。
最近ではインプラントとアバットメントの境界に存在する炎症性結合組織の浸潤(ICT)が非常に炎症防御の働きがあるということが研究で分かってきております。いずれにしてもプラーク形成初期の段階で適切なメインテナンスを継続していくことが天然歯でもインプラントにおいても大変重要であると言えます。また残存歯の徹底した歯周病の問題を解決しておくことが非常に重要であると言えます。
メインテナンスでできること
☆虫歯の予防、早期発見
☆前に治療した歯のチェック
☆入れ歯のクリーニング
☆部分入れ歯の支えの歯を長持ちさせる
☆歯周病の予防
☆糖尿病患者さんの歯周病を改善することができる
インプラント治療後のメインテナンスで検査の評価に用いられる指標

日本歯周病学会 編
1. 問診
全身の健康状態、口腔内の状態などを聞かせてもらいます。
2. 視診
歯、歯周組織、特に歯肉の色、外形、硬さなどを観察します。
口腔内写真を撮ることもあります。
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3. ポケットの深さ
4. bleeding on probing ; BOP
歯肉辺縁からの出血か、
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5. 動揺度
歯周病にかかっていると、 |
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6. X線写真
7. プラーク付着の評価
染め出し液を用いてプラークの付着具合を調べます。 |
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| プラークコントロール不良 | プラークコントロール良好 |
8. その他
虫歯がないか点検したり、咬み合わせ、習癖、悪習慣などのチェックを行います。
診査が終了した後、治療に移行します。
通常、担当の衛生士が治療にあたります。
必要に応じて、歯科医師も介入していきます。
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1. プラーク(バイオフィルム)コントロールの状態
口腔内を清潔に清掃することとインプラント周囲骨の吸収には密接な関系があります。歯の表面と同様にインプラント表面にはバイオフィルムと言われるプラークから形成された細菌の塊が清掃を怠ると沈着していきます。双方のプラークコントロールを患者さまと一緒に技術を身につけていただき習慣づけてもらうことがいつまでの治療後の状態が長持ちするために大変重要なことです。
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2. インプラント周囲粘膜の状態およびプロービング時の出血(BOP)
インプラント周囲粘膜の健康状態やマージン部(インプラントと歯肉の境目)に炎症がないか評価していきます。炎症が見られる場合はプロービングを行いその際出血などが見られない(BOP)か検査していきます。BOPが認められないことは、インプラント周囲組織が健康で安定していることを意味しており、インプラント周囲組織の健康状態をモニタリングするうえで大変重要な指標です。
しかしできるだけ可能な限りインプラント治療のなかで、インプラント周囲の歯周環境をメインテナンスしやすい状態にして、さらに歯周病に対して抵抗力の高い歯周環境を確立しておくことが歯周病専門的な観点から特に重要です。。清掃性の高い歯周環境の確立のためには、正確な位置へのインプラント埋入、インプラント周囲の骨造成、またインプラント周囲の歯周形成外科による抵抗性の高い清掃しやすい付着歯肉(角化歯肉)の獲得が大変重要です。
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インプラントが埋入された後です。欠損部位には頬の粘膜で天然歯と同じような歯ブラシを当てても痛くないようなしっかりした歯肉がありません。 |
インプラント周囲の粘膜を剥離して骨膜の上に上顎の口蓋から採取した歯肉を移植します。 |
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移植した歯肉を縫合した状態です。遊離歯肉移植といい、歯周形成外科では一般的に行われています。 |
約1か月後には移植した歯肉がこのように生着します。ブラッシングもしやすくなり、粘膜から立ち上がったインプラントよりずっと健康的で抵抗力が高まったと言えます。 |
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3. 排膿の有無
インプラント周囲組織を圧迫した際排膿があることは、進行した骨吸収を伴うインプラント周囲炎の存在を示しています。インプラント周囲組織に活動性の炎症があることが疑われ、感染に対する治療が必要である。
参考:インプラント周囲炎
インプラント周囲炎はインプラントと骨の結合(オッセオインテグレーション)が達成され昨日しているインプラントに細菌感染や荷重負担などの結果生じたインプラント周囲の骨破壊を伴う炎症病変のことを言います。症状、所見としてはインプラント周囲粘膜の発赤、腫脹、BOP,周囲歯肉の退縮などがあげられます。
インプラント周囲炎の治療法
インプラント周囲炎は細菌感染であることから、炎症病変の消退を図ることが第一となります。歯周治療に準じ、プラークコントロールの徹底化、専門的な清掃(デブライドメント)、抗菌療法などがあげられますが、症状、所見の程度により外科手術が選択されます。
■筆者のコメント 筆者は今日までこのような経過をたどったインプラントの患者さまはまだおられませんが、他院でインプラント治療をなされ、当院に相談に来られた患者さまの中では何人も経験いたしました。そのような方のレントゲンを拝見しますとインプラント治療にあたり残っている天然歯に対して適切な歯周治療が施されていなかった場合や、インプラントが適切な骨の中に埋入されていなかったりする場合が多いのは事実です、言い換えれば治療者の技術的な配慮が不足しているように見受けられる症例が多く見られるということは否めません。また今日各メーカーのインプラントは技術改良が日進月歩に進んできています。かつてインプラントの表面は機械研磨された鏡面性状でしたが、今日はほとんどのインプラントが表面性状が改善され粗造に処理されています。血液の濡れをよくして、早く骨細胞、骨組織がインプラント表面と結合するように性能があがっています。治療期間が短縮されてきているのもこのような改善がなされてきた成果でもあります。しかし一度骨がインプラント表面から吸収してしまうとその粗造な表面は細菌の住処です。どんどん炎症が進行し、最悪インプラントは骨結合を失い、動揺してしまいます。 生体の反応というものは正直で一度異物とみなすと排除しようと免疫が働きその反応は阻止できない場合があります。歯が歯周病で抜けてしまうのと歯科医が施したインプラントが抜け落ちるのは筆者は意味合いが異なると思います。例えば上の写真の例を見ますと、インプラントと天然歯がつながれて補綴がなされています。 このような場合インプラントには相当なテコの力が働き、非常にいろいろな問題を複雑にしてしまい、できるだけこのようなことは避けるべきケースです。今日インプラント治療するのは成功するのが当たり前の時代ともいえるほど完成されてきています。今はいかに自然で見た目にわからない歯をインプラントで回復できるかが求められてきている時代であると言えます。しかし提供する歯科医療側の実態として、医療技術の低い、粗悪ともいえる、一口腔単位の様々な問題を解決されていないまま治療が終了し、将来に問題を抱えたインプラント治療が氾濫している事実も否めないのも危惧する側面であると言えるかもしれません。 |
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4. エックス線学的評価
レントゲン検査は、臨床的指標がインプラント周囲病変が見られる場合、周囲の骨吸収度を把握するための確定的手段であると言えます。 研究文献ではインプラントが機能してから周囲の骨吸収の年間平均値は0.2mm未満といわれていますが、健康に機能しているインプラントにおいてはこの基準以上に一定の骨レベルは保たれているといってもいいのではないかと筆者はとらえています。
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5. インプラントの咬合
天然歯の歯周病の進行の原因として咬合性外傷の関与というものがあります。歯周病は咬合が過重負担の大きい部位は進行が急速に進んでしまう場合があります。ブラキシズムといい、歯ぎしりや無意識のくいしばりなども歯周炎の進行を加速させる報告があります。 インプラントエックス線検査を含めた咬合の検査によりインプラントの荷重負担が認められる場合には、咬合調整などの対応が定期的に必要です。
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1. 口腔衛生指導
問診で得た資料を参考に患者様によるお口の中のケアを指導します。
歯ブラシ、歯間ブラシ、デンタルフロスなどを使いながら、ひとりひとりの患者様に適切なブラッシング法にて指導します。
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2. PMTC(professional mechanical tooth cleaning )
歯科医師、歯科衛生士のように特別な訓練を受けた専門家により、
器具とフッ化物入りペーストを用いてプラークを機械的に取り除くことです。以下の治療内容のことをトータルしてPMTCとよんでいます。
スケーリング ルートプレーニング
専用の器具を使って、歯ブラシでは除去できない汚れ、歯石を取り除きます。
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歯面の研磨
歯への着色物などを取り除きます。
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歯面の薬物塗布
虫歯になりやすいと判断された患者様 にはフッ素を塗布し、虫歯予防を行います。

天然歯と同じようにインプラントにも良好な口腔衛生が必要となります。
口腔内の衛生状態が不良であると、インプラントの脱落などの原因となります。
歯科インプラント治療において、重要なことはインプラント治療後のメインテナンスともいえます。
インプラントには神経がないので感染がおこっても自覚症状がでません。
インプラントがぐらぐら動いてきたり、膿がでたりしてはじめて異常に気づくのです。
これをインプラント周囲炎とよび、歯槽膿漏と似たような症状で、進行すると、骨が吸収されていきます。
進行の程度によってインプラントを除去しなければならなくなる場合もあります。
こういう事態を防ぐためにインプラント治療後も、定期的なメインテナンスがとても重要です。
固定式であるので、取り外しての清掃は必要ありません。
基本的には市販の歯ブラシと歯磨き粉を使ったブラッシングで十分です。
しかし、天然歯に比べて、歯と歯肉の境目に汚れがたまりやすいので、境目のブラッシングは丁寧に行っていただきます。
患者様に合ったホームケアの方法を、歯科医師、歯科衛生士によって指導します。
自己流のケアでなく正しい方法でのホームケアを行うことが大切です。
1か月、3か月おきのメインテナンスを進めていきます。
インプラントに汚れが付着していないか
患者様ご自身でのお手入れがうまくできているか
咬み合わせの状態は良好であるか
歯肉炎、歯周炎が進行していないか
その他の部位に異常がでていないか
など、チェックしていきます。
そして、ご家庭のメインテナンスでは除去できない汚れをクリーニングします。
お手入れが良好であれば、メインテナンスの間隔を延ばし、不良であれば間隔を狭めます。