歯周病や虫歯、また外傷などで歯を失ってしまった場合、食事をしたり会話をしたりする機能を回復させるために人工歯根を顎の骨に埋め込み、その上に天然の歯とほとんど変わらない歯を作る治療です。
従来の治療法ではブリッジを架けたり、入れ歯で治療してきましたが、そのために健全な歯であっても削らなければならないことがありました。
インプラントは生体親和性の高いチタンでできており、2〜3ヶ月すると骨と直接結合(オステオインテグレーション)します。
インプラントの治療技術は40年以上もの歴史があり、さらに年々進歩を遂げその成功率は限りなく100%に近づき、非常に信頼性の高い治療法として世界的に認められています。
今や、世界中で年間に数百万本のインプラントが使用されていると言われ、日本でも年間数十万本が使われています。
欧米では治療法の第一選択肢になりつつあります。従来の治療法と比較しインプラント治療は多くのメリットがあります。
まず天然歯とほとんど変わらない感覚で好きなものを自由に食べることができます。同時に噛み合わせも安定し残された自分の歯も安定させることができます。今のインプラント治療は、ただ単に歯を失った機能を回復する目的だけでなく、いかに自然な外観を回復させることができるか、日進月歩にその可能性が拡大してきています。
自然な歯を取り戻し、より健康的で豊かな生活を送りたいという欲求に応えるため、これまでの入れ歯やブリッジの欠点を解消する治療法として研究開発が進められてきました。
下の表にインプラントの長所と短所をまとめてみました。
インプラント、ブリッジ、入れ歯のメリット・デメリット
インプラント
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メリット |
- 健全歯と同様の咀嚼機能が回復できる。
- 天然歯と同様の感覚が回復できる。
- 周囲の天然歯を削らなくて済む。
- 歯列が回復することにより残された歯の環境が改善される。
- 他の治療より長期的に信頼性が高く長持ちする。
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| デメリット |
- 手術が必要となる。
- 十分な骨がない場合、骨の再建が必要である。
- 治療期間が長くなることがある。
- 保険適用外なので、費用がかかる。
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ブリッジ
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メリット |
- セラミックなど審美的材料を用いると美しく自然な歯が回復できる。
- 固定式であるため、自然な噛み合わせ、咀嚼機能が回復できる。
- 入れ歯のように取り外ししなくて済む。
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| デメリット |
- 健康な歯を削らないといけない場合がある。
- 土台となる歯に過度な負担がかかる場合があり、その歯の寿命を縮めることがある。
- 差歯の下の歯肉と隙間に食べ物のカスがつまり、口腔内が不衛生になることがある。
- 土台に歯周病の問題があったりすると、ブリッジが長持ちしない場合がある。
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入れ歯
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メリット |
- 治療が短期間で機能回復できる。
- 保険が適用できる。
ただし、医療保険の給付の範囲外の材料、装置を使用する場合は保険外診療となるため、費用が高額になる場合もある。
- 自分で取り外しして清掃できるのでお手軽である。
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| デメリット |
- 咀嚼機能はインプラント、ブリッジに比べ劣ることが多い。
- 装着時の違和感、味覚が落ちたりする。
- 発音がしにくい場合がある。
- 入れ歯を支える歯や骨を損失する危険性が高い。
- 安定した咬合を長期間維持するのが難しく、頻繁に作り替えたり調整が必要である。
- 精神的に健康感にネガティブになりやすい。
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インプラント治療は入れ歯やブリッジの治療などでは望めなかった効果が得られます。
歯は一度失うと再生しません。そのため、天然歯に近い感覚を取り戻すことができるインプラント治療は、患者様にとって魅力的と言えます。
今日のインプラント治療は、インプラントの表面性状の研究開発、形態構造的進化、また学術的研究による技術の進歩に伴い、日進月歩のごとく急速に進化を遂げてきています。
保存不可能な歯を抜いて同時にインプラントを埋入したり、その日のうちに新しい歯が入って帰れる治療も見られるようになりました。それぞれの術式に長所も見られます。
ただ、簡単に早くインプラントの歯ができることが、患者様に負担のない、術者にとっても簡便で合理的なインプラント治療のシステムであるとは言えません。
1回の手術でインプラント治療を終える手法は、実際には複雑な問題を同時に解決しなければいけない大変高度な術式になります。
思い通りの結果に導けなかったり、最悪失敗に終わるリスクを抱えながらの治療であることも理解しておかなければなりません。
まだ学会レベルでは見解を出せない段階で、臨床が先行している傾向が見受けられると言えます。
確かに今後ますます発展していく可能性はありますが、まだまだ実験段階のレベルである手法で、現段階から患者様にアピールしているところは危惧しなければなりません。
患者様はいかに早くインプラントの歯が入るかだけではなく、その歯がいかに長持ちするかが1番大切なのではないでしょうか。
これから治療を受けられる患者様の視点から見たインプラント治療に関して正しい情報を伝えしていきたいと思っています。
一回法インプラント治療の流れ
一回法の術式の場合、歯肉を貫通するアバットメントをフィクスチャー埋入時に連結してしまうため、フィクスチャー頭部を露出させてアバットメントを連結するための2次手術が不要となります。補綴物装着までの治療期間が二回法より短縮でき、固いしっかりした骨が量、幅とも十分ある場合、またしっかりした歯ぐきがある場合はこの術式が可能です。
二回法インプラント治療の流れ

歯ぐきを開き、顎の骨にインプラント(フィクスチャー)を埋め込みます。 |
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しっかり固定するようにインプラントを埋め込み、歯ぐきを閉じます。 |
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インプラントが骨と結合したら、再度歯ぐきを開け、インプラントの頭を出します。 |
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歯ぐきの治癒を待ち、被せの歯を作製するため型をとり、天然歯と見分けのつかないセラミックの人工歯を装着します。 |
最も従来から行われているスタンダードな治療術式です。
1次手術時にフィクスチャー頭部を歯肉粘膜で被覆します。
治癒期間中にフィクスチャーに機械的負荷がかからない状態にします。
閉鎖層の中で、完全にインプラントが骨と結合(インテグレーション)するまで待ちますので、最も安全性の高い術式です。
したがってこの術式の場合は2次手術が必要になります。
2次手術では歯肉内にフィクスチャー頭部を露出させて、歯肉を貫通するアバット面とをフィクスチャーに連結することが必要になります。
インプラントがいつまでも安定して長持ちするためには、インプラント周囲に十分な骨としっかりした歯肉(角化歯肉)が必要です。
この術式は、フィクスチャーを埋入するとき、骨が不足していて骨造成が必要な場合やしっかりした歯肉を移植(遊離歯肉移植)が必要な場合に適します。
治療がステップごとに進みますので、計画どおりの治療結果が得られますが、時間的には少し治療期間が長くなります。
即時負荷
(術後 数時間〜数日以内にフィクスチャーへ負荷を与えることを意図する術式)
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フィクスチャーの埋入、アバットメントの連結、
プロビジョナルレストレーションの装着、
最終補綴物の作製 |
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従来のインプラントは骨に埋入してから、フィクスチャーが骨としっかり結合(オッセオインテグレーション)するまで負荷をかけずに待ちました。
今日のインプラント治療は、インプラント周囲に骨の細胞を早く再生させるためのバイオマテリアルを開発したり、また表面性状、インプラントデザインなどの進化によってフィクスチャーを強固に顎骨内に埋入して即時に負荷をかける、すなわち固定式の歯をいれることができる術式が開発されてきています。
ただこの術式はフィクスチャーが生物学的に骨と結合し、その恒常性が確立されるまでに機能させることになるので様々な条件がそろわないと、術後すぐに歯ができるメリットがあるものの、失敗しうるリスクも通常より高いことを理解しておかないといけません。
確かに今後発展していく技術であると言えますが、現段階ではまだ長期的な予後はコンセンサスが得られていません。